沖縄県石垣市のさくら鍼灸院・接骨院

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手技療法の分野で再定義される「FASCIA(ファシア)」の重要性

こんにちは。

院長の明井です。

私が施術をする際に、筋肉と筋肉の間などへ指をゆっくり滑り込ませるように触れながら、組織の硬さや動きを確認することがあります。

強いマッサージがお好きな患者様からは、

「それ何やってるの?」
「もっとグイグイ押してよ!」

と言われることもあります。

そんな時に

「FASCIA(ファシア)に対してアプローチしています。」

と、お答えしたいところですが、そもそも

「ファシアって何?」

となりますよね。

そこで今回は、近年手技療法やスポーツ医療の分野で注目を集めている「FASCIA(ファシア)」についてご紹介したいと思います。


FASCIA(ファシア)とは?

ファシアは、よく「筋膜」と訳されます。

しかし近年では、単なる筋膜というよりも、

身体全体を包み込み、つなぎ合わせている結合組織のネットワーク

として考えられるようになっています。

イメージとしては、

全身を覆うボディスーツのような組織

と言うと分かりやすいかもしれません。

2014年のFascia Research Congressでは、

「身体全体に連続的に存在する、コラーゲンを含む三次元的な結合組織」

と定義されています。

これには、

  • 筋肉を包む膜
  • 靱帯
  • 関節包
  • 神経周囲組織
  • 内臓を包む組織

などが含まれます。

つまりファシアとは、身体を部分ごとではなく、一つの連続した構造として成り立たせている組織なのです。


ファシアは「力」と「情報」を伝える組織

以前は、ファシアは単なる包装材や支持組織と考えられていました。

しかし近年の研究では、

  • 力の伝達
  • 感覚情報の伝達
  • 動作の協調

などに関与している可能性が示されています。

その中でも有名なのが、

「Myofascial Chains(筋膜連結)」

という考え方です。

これは、一つの筋肉だけで動いているのではなく、ファシアを介して全身が連動して機能している可能性を示した概念です。

臨床現場では、

  • 痛みのある場所と原因と思われる場所が一致しない
  • 離れた部位への施術で症状が変化する

といったケースを経験することがあります。

ただし、その仕組みについてはまだ研究が進められている段階であり、ファシアの連続性を含め様々な仮説が検討されています。


痛みとファシアの関係

ファシアには多くの自由神経終末や侵害受容器(痛みを感じるセンサー)が存在しています。

そのため近年では、ファシアが痛みの発生や慢性痛に関与する可能性が注目されています。

また、

  • ファシアの滑走性の変化
  • 組織特性の変化
  • 動きの制限

などが、慢性的な痛みや可動域制限と関連する可能性も示唆されています。

これは、

「レントゲンやMRIでは大きな異常が見つからないのに痛みが続く」

といった症状を考える上で、一つの重要な視点になるかもしれません。


手技療法におけるファシアアプローチ

ファシアへのアプローチには、

  • 強い刺激を必要としない
  • 組織の動きや滑りを重視する
  • 神経系への影響も一因として考えられている

といった特徴があります。

そのため、

  • 慢性的な肩こりや腰痛
  • スポーツによる繰り返しの不調
  • 関節の動かしにくさを伴う症状

などに対して活用されることがあります。

また、高齢者の方や強い刺激が苦手な方にも取り入れやすいアプローチです。

私自身も、症状のある場所だけを見るのではなく、ファシアの連続性や全身のバランスを評価しながら施術を行うことを大切にしています。


まとめ

ファシアは、

  • 身体の構造を支える
  • 力や動きを伝える
  • 感覚や痛みに関与する可能性がある

という、多面的な役割を持つ組織です。

まだ研究途中の分野ではありますが、

「なかなか改善しない症状」
「原因がはっきりしない不調」

を考える上で、非常に興味深い視点を提供してくれています。


いかがでしたでしょうか?

私が決して手を抜いていないことをおわかりいただけたでしょうか?

手技療法の世界には様々な考え方があり、

「これが絶対に正しい」

と言い切れる方法はまだ存在していません。

もちろん、私が行うようなソフトな手技がすべての方に最適であると証明されているわけでもありません。

一方で、

「強ければ強いほど効く」
「痛みに耐えてこその施術」

という考え方も、必ずしも科学的に支持されているわけではありません。

実際に強い刺激の施術を受け続けているにもかかわらず、同じ症状を繰り返している方も少なくありません。

もし現在の方法で十分な改善が得られていないのであれば、一度視点を変えて、これまで試したことのないソフトタッチなアプローチに目を向けてみるのもアリではないでしょうか。

身体にはまだまだ分かっていないことがたくさんあります。

だからこそ、我々は日々学びながら、患者様お一人おひとりに合った施術をご提案していきたいと考えています。

次回は賛否両論ありますが、院長の自分語りをお送りいたします。


【参考文献】

Schleip R, Müller DG.
Training principles for fascial connective tissues: scientific foundation and suggested practical applications.
J Bodyw Mov Ther. 2013.

Stecco C, et al.
Fascial components of the myofascial pain syndrome.
Curr Pain Headache Rep. 2014.

Findley TW, Schleip R (eds).
Fascia Research II & III.
Elsevier, 2009 / 2012.

Wilke J, Krause F, Vogt L, Banzer W.
What Is Evidence-Based About Myofascial Chains? A Systematic Review.
Arch Phys Med Rehabil. 2016.

Yahia L, Rhalmi S, Newman N, Isler M.
Sensory innervation of human thoracolumbar fascia.
Acta Orthop Scand. 1992.

Stecco C, Schleip R.
The Functional Atlas of the Human Fascial System.
Elsevier. 2015.

Langevin HM, Huijing PA.
Communicating about fascia: history, pitfalls, and recommendations.
Int J Ther Massage Bodywork. 2009.

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