こんにちは。
前回の予告どおり、今回のテーマは「ストレッチ」です。
突然ですが、皆さんは「ストレッチ」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?
・ゆっくり体を伸ばす
・「イッチニ、イッチニ!」と反動をつける体操
・ヨガのようなポーズ
実は一言でストレッチと言っても、やり方はいくつもあります。
大きく分けると、ストレッチには次の2種類があります。
ストレッチの種類は2つ
① 静的ストレッチ
→ 筋肉を伸ばした状態で、じっとキープする方法
(お風呂上がりや寝る前に行うことが多いタイプ)
② 動的ストレッチ
→ 体を動かしながらリズムよく行う方法
(ラジオ体操はこちらに分類されます)
今回は、日常の疲れ対策やセルフケアとしておすすめされることが多い「静的ストレッチ」について、
「何に効果があって、何にはあまり向いていないのか」を、医学的な研究結果をもとに分かりやすく解説していきます。
静的ストレッチで期待できること
① 体の動きが良くなる(関節の動く範囲が広がる)
これは、静的ストレッチの中で最も効果がはっきりしているポイントです。
・続けることで体が柔らかくなる
・動かしにくかった関節がスムーズになる
といった変化は、多くの研究で確認されています。
「体が硬い」と感じている方には、まずここが一番のメリットです。
② 筋肉の“こわばり”が一時的にやわらぐ
静的ストレッチを行うと、
・筋肉や腱の張りが一時的にゆるむ
・「動きが軽くなった」と感じる
といった変化が起こります。
ただし、この効果は長時間続くわけではなく、数十分〜1時間ほどで元に戻ることが多いとされています。
そのため、「その場のリフレッシュ」や「リラックス目的」として考えると分かりやすいでしょう。
③ 運動の直前にやりすぎると、力が出にくくなることがある
ここは少し注意が必要なポイントです。
運動前に長時間(60秒以上)静的ストレッチを行うと、
ジャンプ力や瞬発力が一時的に落ちることが分かっています。
そのため最近では、
・運動前 → 軽め・短時間のストレッチ+体を動かす準備
・運動後や寝る前 → 静的ストレッチ
という使い分けがすすめられています。
④ ケガ予防への効果は「条件付き」
「ストレッチをするとケガをしない」と思われがちですが、
静的ストレッチだけでケガが大きく減る、という強い証拠は多くありません。
ただし、
・筋肉の硬さが原因で起こる痛み
・柔軟性不足が影響しやすい動作
こういった場合には、予防の一部として役立つ可能性があります。
⑤ 慢性的な痛みやコリの軽減
肩こりや腰の重だるさなど、
慢性的な筋肉の緊張が関係する痛みに対しては、静的ストレッチが役立つケースがあります。
・血流がよくなる
・神経の興奮が落ち着く
といった作用により、
「痛みが少し楽になる」「体がリラックスする」と感じる方が多いのも特徴です。
⑥ リラックス効果・血流改善
静的ストレッチには、
・気持ちが落ち着く
・体が温まる
・眠りやすくなる
といったリラックス効果があることも分かっています。
これは、自律神経のバランスが整いやすくなるためと考えられています。
まとめ
簡単にまとめると、
- ✔ 体を柔らかくする → 得意
- ✔ リラックス・疲労ケア → 得意
- △ ケガ予防 → 条件次第
- ✖ 運動直前の長時間使用 → 不向き
という特徴があります。
個人的にですが、学生アスリートには特に勧めるようにしています。運動後には疲労を翌日に持ち越さないようにするために、栄養補給も当然必要になるのですが、その際に身体や脳が興奮状態であればせっかく摂取した栄養も効率よく吸収できない可能性(一般的に、強い興奮状態では消化器系の働きが低下しやすいとされておりリラックスした状態の方が消化に適していると考えられています。)があるためです。なので、運動後の静的ストレッチは、筋肉を伸ばし柔らかくするだけのものではなく「明日の練習を今日以上に頑張れるようにする1つの方法」であると考えています。これは、なにもアスリートに限った話ではありません。もちろん生活リズムは人それぞれなので、すべての人が理想の順番(ストレッチでリラックスさせてから、栄養補給)どおりにできるとは思いません。しかし多少順番が前後しようが、仕事の後や寝る前のリラックスする時間は万人に必要なものです。ぜひともこれを機に、お仕事終わりや寝る前に軽いノリでストレッチをやってみませんか?
次回は冒頭でも触れた、「動的ストレッチ」について綴っていこうと思います。
参考文献・情報ソース
- Behm DG, Chaouachi A. Eur J Appl Physiol, 2011
- Thomas E et al. Sports Medicine, 2018
- Nakamura M et al. Scand J Med Sci Sports, 2019
- Kay AD, Blazevich AJ. Med Sci Sports Exerc, 2012
- Simic L et al. Scand J Med Sci Sports, 2013
- ACSM Position Stand, 2021
- Thacker SB et al. Med Sci Sports Exerc, 2004
- Lauersen JB et al. Br J Sports Med, 2014
- Bertozzi L et al. Clin Rehabil, 2013
- Imagawa N et al. Sensors, 2023
- Nakamura M et al. Frontiers in Physiology, 2021
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