こんにちは。
今回のテーマは、前回に引き続き「ストレッチ」です。
前回のコラムではストレッチ全体のお話をしましたが、今回はその中でも「動的ストレッチ」についてご紹介します。
「動的ストレッチってどんなことやるの?」と思われる方も多いと思います。簡単に言えば「ラジオ体操」がこれに該当すると思ってください。小学生の頃、夏休みに早起きして友達と行った記憶がある方も多いと思いますし、社会人になってからも職場の朝礼で行った経験がある方もいらっしゃると思います。
これらに共通しているのは、「何かを始める前の準備として行われている」という点です。実はこの“準備運動として行う”という点こそが、動的ストレッチの大きな役割なのです。
今回は、なぜラジオ体操のような動的ストレッチが準備運動に適しているのかを、医学的な研究結果をもとに、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
動的ストレッチで期待できる効果
① 運動のパフォーマンスが上がりやすい
動的ストレッチは、ゆっくり伸ばす静的ストレッチと比べて、
力を出す・素早く動くといった動作の準備に向いていることが分かっています。
具体的には、
- ジャンプ力が高まりやすい
- 下半身のパワーが出やすくなる
- 反応が素早くなる
といった効果が報告されています。
そのため、運動前や仕事前など「これから体を動かす」場面では、動的ストレッチの方が適しているとされています。
② ウォーミングアップとして非常に優秀
動的ストレッチを行うことで、
- 体温が上がる
- 心拍数がゆるやかに上昇する
- 神経と筋肉の連携がスムーズになる
といった変化が起こります。
これにより、体が「動く準備ができた状態」になり、
ケガの予防や動きやすさの向上につながります。
現在では、動的ストレッチは国際的にもウォーミングアップの基本として位置づけられています。
③ 体の動く範囲(柔軟性)が一時的に広がる
動的ストレッチでも、
股関節や肩関節などの可動域(動く範囲)が一時的に広がることが確認されています。
静的ストレッチほど大きな変化ではありませんが、
- 動きやすさを高めたい
- 運動前に体を固めたくない
といった目的には、動的ストレッチの方が適しています。
④ ケガの予防につながる可能性
動的ストレッチ単独でケガを完全に防げるわけではありませんが、
ウォーミングアップ全体の一部として取り入れることで、ケガの発生率を下げる可能性があると報告されています。
特に、
- サッカー
- バスケットボール
- 陸上競技
など、急に止まる・方向転換する動作が多いスポーツで効果が期待されています。
⑤ 筋肉痛や疲労感への効果は限定的
一部の研究では、
- 翌日の筋肉痛が軽くなるかもしれない
- 血流が良くなり、疲労感が軽減する可能性がある
といった報告もありますが、
はっきりとした効果があるとは言い切れない段階です。
まとめ
| 期待できる効果 | 研究の信頼性 | ポイント |
| 運動パフォーマンス向上 | 高い | 運動前に最適 |
| ウォーミングアップ効果 | 高い | 体温・神経を活性化 |
| 柔軟性の向上 | 中程度 | 短時間で効果あり |
| ケガ予防 | 中程度 | 準備運動の一部として有効 |
| 筋肉痛軽減 | 低い | 効果は限定的 |
| 疲労軽減 | 低い | 明確な証拠は少ない |
いかがでしたでしょうか。
子どもの頃、眠い目をこすりながら行っていたラジオ体操も、
実はその後一日元気に動き回るための、とても理にかなった準備運動だったことがおわかりいただけたかと思います。皆様も是非、スポーツ前はもちろん、仕事や家事を始める前のちょっとした準備として、ラジオ体操や動的ストレッチを取り入れてみてください。
次回予告
以前公開した、院長の自分語りが思いのほか好評だったため、ここはひとつ、専門学校編も綴ってみようと思います。
情報ソース・参考文献
- Behm DG, et al. Acute effects of muscle stretching on physical performance. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2016
- Behm DG, Chaouachi A. A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance. European Journal of Applied Physiology, 2011
- Fradkin AJ, et al. Effects of warming-up on physical performance. Journal of Strength and Conditioning Research, 2010
- Bishop D. Warm up I & II. Sports Medicine, 2003
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、症状や体調によっては専門家への相談をおすすめします。
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